#022 【ディアナ】 [世界の終りに贈る歌]

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「どうしたんだよ?そういや、雪上運動会って来週だよな」

 僕が話し掛けてもイサムは上の空・・・しばらくして思い出したように、イサムは僕の顔を見る。


「・・・あぁ、そうだ。お前なら相談に乗ってくれるかな」



 その表情は少し前までのイサムとどこか違う。

「え?まぁ、僕でよければ・・・」

 改まって『相談』なんて、少し心配になって来た。一体どうしたんだろう。

 クラスの女子は、珍しい生き物でも見るような目で遠巻きに眺めている。

 僕の返事を聞いて、イサムは辺りを見回す。そして声をひそめてこう言った。

「ここは人目が多いから、放課後ちょっと俺ん家寄ってくれよ」


 イサムの家、ということは当然彼の姉もいるわけで・・・僕は一瞬躊躇する。

「あぁ、姉ちゃんなら8時くらいになんないと帰って来ないから大丈夫だよ」

 そう言って笑う顔は、いつもと変わりがないように見えた。


 放課後、いつもクラスメイトと喋って時間を潰しているイサムが、今日はそわそわと帰り支度を済ませる。

 そして、友人に声を掛けられても返事もそこそこに、僕を連れて急いで下校した。

 部屋に僕を招き入れ、適当におやつを用意するとイサムはようやく息をつく。

「いやぁ、悪いね。寄り道させちゃってさぁ」

 そう言いながら少し照れた顔で僕を見つめる。

「何時間もじゃなければ大丈夫だよ。それにうちの母は、僕が友人の家に遊びに行くことを喜ぶから」

「そうか・・・お前、ほんといい奴だよな」

 僕は苦笑する。

「そんな風に言ってくれるのはイサムだけだよ」

 僕の言葉を社交辞令と受け取ったのか、イサムは笑って首を振った。



「それでさ、相談なんだけど・・・年上の彼女って、どうやって付き合えばいいのかな?」

 急に真剣な顔になったイサムは、顔を赤らめながら切り出した。


「お前、経験あるだろ?俺わかんなくて・・・普通、どんな風にデートとかするもんなん?」

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