#024 【稚拙】 [世界の終りに贈る歌]

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 僕は、今までの『彼女』たちとの行動を思い返す。いつも相手の都合に合わせていた気がする。

 だから、映画だのゲームセンターだの買い物だのに引っ張り回されるのが常だった。


 それをデートだと言うのなら、イサムが考えなきゃいけないことなど何もない。



「僕の場合は、あまり一般的じゃないような気がするけど・・・」

 それ以外に僕がやってたことなら、尚更説明しにくい。なんと言えばいいのか悩んでしまう。


「彼女が何好きかにもよるけどね。映画が好きなら映画を一緒に観に行ったり、サッカーが好きなら・・・」

「あ、俺小遣い少ないからさ。できればあまり金使わない方法とかがいいなぁ」

 中学1年だし、イサムの意見ももっともだ。僕みたいに平気で相手にお金を使わせるタイプばかりじゃないよな。

「それなら最初にそう言えよ・・・ってその前に、彼女が好きなこととかまだ知らないのか?」

 彼女にメールアドレスをもらったはいいが、イサムはまだ携帯を持っていない。だから、まだ少ししか話をしていないらしい。

 今まで携帯を欲しがらなかったのに、急にねだるのも変に思われそうで悩んでいるとのこと。

「そういうの、やっぱ最初に訊いとかなきゃ駄目かな。俺、徐々に教えてもらえばいいかと思ってたんだけど」

「まぁ、それでもいいけど・・・あ、じゃあデートする時に色々話をすれば・・・」


 自分の場合を考えながらアドバイスする。偉そうなこと言える立場じゃないのに・・・という後ろめたさが少しあるけど。

「あ~あ。携帯が使えれば、自己紹介もデートの約束も簡単なのになぁ」

 イサムは情けない顔をしてベッドに倒れ込む。

 そういや、携帯がまだ普及してなかった頃は、みんなどうしてたんだろう?



「あらぁ、司くん来てたの?お久しぶりねぇ」

 急にドアが開いて、イサムの母親が顔を覗かせる。イサムがベッドから跳ね起きた。


「も~っ!勝手に開けるなっていつも言ってんだろ!」

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