#023 【合意】 [世界の終りに贈る歌]

最初から読む

「それでさ、相談なんだけど・・・年上の彼女って、どうやって付き合えばいいのかな?」

 急に真剣な顔になったイサムは、顔を赤らめながら切り出した。


「お前、経験あるだろ?俺わかんなくて・・・普通、どんな風にデートとかするもんなん?」



 僕は一瞬『経験』の意味を深読みし過ぎて、イサムの顔をまじまじと見つめ返してしまう。

 イサムは余計に照れながら、視線を逸らした。

「なんだよ・・・俺に年上の彼女ができたら変だってのかぁ?」

 僕は自分の勘違いに気付き、慌てて否定する。

「あぁ、ごめん。そうじゃないんだけど」

 そして、イサムが照れているのを微笑ましく思いながら、おやつをつまんで話題を変えてみる。


「イサムが年上好きとは知らなかった。やっぱりお姉さんがいるからかな?」

 もっとも僕が知ってる限りでは、年上っぽさよりも年齢の割に幼さの方が強かった気がするけど。

「別にそんなんじゃねえよ・・・って、いうか、向こうから声掛けて来てさ・・・」

 彼女は高校1年生。先週、本屋で立ち読みをしている時に声を掛けられたらしい。

 街のサッカーチームに入っているイサムのことを、今までに何度か目にしたことがあって、ずっと気になっていたと言われた・・・と。

 イサムは馴れ初めをそう話してくれた。

「へぇ~。その人、見る目あるなぁ」

 僕は素直に感心して言ったが、イサムはからかわれたと思ったらしい。顔を赤くしながらジュースを飲み干す。

「・・・ま、いいんだけどさ。そんなことよりどうやってデートしたらいいと思う?」

 イサムの顔は、授業中には見た事がないくらい真剣そのものだった。



 僕は、今までの『彼女』たちとの行動を思い返す。いつも相手の都合に合わせていた気がする。

 だから、映画だのゲームセンターだの買い物だのに引っ張り回されるのが常だった。


 それをデートだと言うのなら、イサムが考えなきゃいけないことなど何もない。

↓クリックお願いします。励みになります♪
人気ブログランキング にほんブログ村 恋愛ブログ にほんブログ村 恋愛小説
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:恋愛・結婚

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

#022 【ディアナ】#024 【稚拙】 ブログトップ



access countゴルフクラブ パター ショッピングブライス ナターシャムーア一騎当千 関羽雲長 ~DVD BOX版 チャイナドレスVer. (1/7スケールPVC塗装済み完成品)

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。