#028 【楽観】 [世界の終りに贈る歌]

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 先生の言ういい所って本当にここなんだろうか?せめてもう少しデートっぽい場所かと思ってたのに。

 僕は銀色の建物を見上げて、こっそりとため息をついた。


 悔しいけど、この人の考えることだけは、相変わらず読めないままだ。



 チケットを買って、ほの香先生は僕に1枚渡す。

 そこには大きく『小人』と印刷されている・・・何故か莫迦にされたような気分になる。

「まず何見ようか・・・あたし、ここに来るの久しぶりなのよねぇ。確か大きな電磁石があって・・・」

 子供の僕よりもはしゃいだ様子の先生は、靴音を鳴らしながら勝手に歩き始める。

 実はデートなんていうのは口実で、単純に自分が来たかっただけじゃんじゃないだろうか。


「ん?だって、自分が楽しめない場所に誘ってなんの意味があるの?」

 僕がさり気なく厭味を言うと、あっけらかんとした口調で先生は答えた。

「それに、いきなり司くんをテーマパークとかに連れて行っても、人込みに酔っちゃいそうな雰囲気だし・・・」

 ・・・それは否定できない。

 でも、人込みが苦手だなんて話は、したことがないはずなんだけどな。

「ここなら特別なイベントでもない限り、そんなに混まないしね。それに司くんでも楽しめそうな場所だし」

 先生はにっこり笑って言葉を続けた。

「それからね、プラネタの後に本物の星を眺めるのって、ロマンティックだと思わない?」

 ・・・やっぱり、僕のためじゃなくて、先生が来たかっただけなんじゃないだろうか。


 エアーホッケーの超強力版というようなアトラクション(というのだろうか?)で嬌声を上げている先生。

「そもそもこれはゲームの勝ち負けじゃなくて、空気の流れについての目に見える実験を・・・」



 僕が説明を始めると、ほの香先生は鼻で笑って遮った。

「そんなこと言って、司くんってば実は負けるのが悔しいだけじゃないの?」


 後で泣きを見るのはどっちでしょうねえ、先生。

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